日本学術会議については不勉強にして、五年前までは、全く知らなかった。
令和二年、当時の菅内閣が同会議が推薦した105名のうち6名を任命拒否したことがメディアで大きく報じられた。
その後、政府は日本学術会議の法人化を目指す法案を提出し、今年6月11日に、学術会議法人化が可決された。
学術会議側は激怒しているようだ。
そこで、本記事は、学術会議側の言い分を少し紹介し、同会議に所属していない学者の一部が今回の法人化をどう見ているかを常連の皆さんと共有したい。
学術会議の要求はおおまかに言うと、ナショナルアカデミーの五要件なるもので、以下の五点らしい。
1 学術的に国を代表する機関としての地位
2 要件1のための公的資格の付与
3 国家財政支出による安定した財政基盤
4 活動面での政府からの独立
5 会員選考における自主性・独立性
上記の1~5をまとめて、当ブログ流の言い方で再構築すると次のようになる。
⇒国から日本を代表する機関としてのお墨付きを与えて欲しい(=地位と名誉が欲しい)。
もちろん、会員の給料は国家財政から支出すること(=国民の血税を自分たちによこせ)。
自分たちの活動に政府は干渉するな(=俺たちはやりたい放題するぞ)。
国は会員選考には関与するな(=会員が身内だけで都合のいいように選ぶぞ)。
まあ、多少チャチャ入れ気味かもしれないが、ぶっちゃけると上記のようになるだろう。
常連の皆さん、納税者として学術会議側の要求をどう思いますか。
通常、税金で運営される組織は、国から当然のように評価されるし、監査も受けている。
要は、「自分たちを特別扱いしてほしい」と学術会議側は主張しているのであろう。
では、ここからは学術会議に所属していない学者さんの意見を列挙してみよう。
以下の引用は、「東大教員は学術会議の法人化をどうみているか」という記事からのものだ。
回答者はすべて、東京大学の学者・研究者である。
*大学院理学系研究科 教授
⇒学術会議の要求(=先述の五要件)は、要するに「カネと公的地位はほしい、でも活動と会員選考には口をだすな」といっているわけで、多くの国民からすればムシのいい身勝手な要求としか思われないだろう。「学術的に国を代表する機関としての地位」は政府に保証してもらうようなものではなく、アカデミー自身の活動内容と実績で国民から認められる地位を獲得していくべきものだ。今の学術会議の態度はただの甘ったれである。個人的には、一度、政府の財政支援は断って、学会のように学術関係者の自費で運営する形にし、完全に独立した組織にするべき(したがって会員選考も自由)とするべきと思う。
*大学院工学系研究科 岡本孝司教授(⇐教授本人が実名回答しているので、そのまま記す)
⇒学術会議は、例えばALPS処理水の問題について、何の役に立っていない。内閣府や外務省など、日本国全体で科学的な説明を行った。日本国が大変な時に、役にたたない組織は、不要である。
*大学院総合文化研究科 教授
⇒学術会議の一部のメンバーの方が、自己の政治的支持に照らして学術と関連が薄いところでときに「学術会議有志」などとして過剰に党派的活動をされることが前提となっているので、こうした結果は予測できることです。
⇒学術会議のメンバーがどのように選ばれているかについて、ほとんど知られていませんし、研究者にも説明はございません。研究者が選挙で選んでいるわけではありません。もし前任者の推薦で選んでいるという話が本当であれば、社会から閉鎖性を批判されてもやむを得ないと思います。
⇒学術会議の活動の中で、メンバーの所属学会に無理やり自分たちのシンポジウム(一般公開が義務付け)を押し込んでくる慣行があります。事実上無審査で採用せざるを得ません。
⇒メンバー個人については別として、学術会議のあり方については強い疑問を持ち、今回の政府との対立を冷ややかな目で見ている研究者は少なくありません。しかし、人間関係などを考慮して、顕名で発言することはできません。当方も名前を出すことはできません。
今回の引用は、この程度にしておこう。
第二弾もあることだし(?)。
最後に、当ブログから少しだけ、学術会議に関する情報を挙げよう。
以下の内容は、法案成立以前の内容である。
◎学術会議は、偉い(?)先生方が仲間内で盛り上がる仲良しクラブである。
その証拠に、新たな会員の選考は現在の会員と連携会員が候補者を推薦し、学術会議自らが選んでいるからだ。
つまり、外部の人間は選考に一切かかわることができない。
会員による選挙も全く行われない、要は、非民主主義的な閉鎖クラブ、それが日本学術会議の正体である。
◎自分たちは「学問の自由」を声高に主張するが、他人の学問の自由は平気で踏みにじる。
北海道大学は、2016年度に防衛省の安全保障技術研究推進制度の応募し、某教授(流体力学)の研究が採択された。
その内容は、微細な泡で船底を覆い船の航行の抵抗を減らす技術で、自衛艦だけではなく民間のタンカーや船舶の燃費が10%低減されるという画期的なものであった。
それを、学術会議が一方的に「軍事研究」と決めつけ、北大に圧力をかけたために、同大学は2018年に研究を辞退した。
さて、賢明な常連の皆さまには、ここまで目を通してもらえば、学術会議の主要メンバーの主義主張というか、党派性というかイデオロギーに気づかれたことでしょう。
そのあたりは、また、第二弾で触れたいと思います。
追記
それにしても、ネットで目にした「東大教授は学術会議の法人化をどう見ているか」は久々のヒットだった。
ネット記事はハズレが多いのだが、、、
興味のある方は、是非、検索して目を通してみてください。