異世界もの第六弾! 再び、迫りくる邪鬼! 千夏を助けるのは誰?

二体の邪鬼、、、どこから侵入したのか、それとも元から店内に潜んでいたのか、、、
凶悪な面構えの鬼二体が、音もなく、距離を詰めてくる。
「ローシさん、邪鬼が、邪鬼が!」
必死で叫ぶ千夏は、全身が凍りつき、恐怖のあまり両目を閉じる。

「お師匠様、オヨビデスカ」という聞きなれない声に、恐る恐る目を開けた千夏に、ローシが「チナツ、大丈夫だ。この者たちは、シャリプト導師の弟子だ」と告げた。
~ え、邪鬼がシャリプトさんの弟子? ~ と訝りながら、よくよく二体を見ると大きな違和感が。
「あ、この邪鬼、小さい! ローシさん、森で見たのはもっともっと大きかったですよね!」

シャリプトの前で、神妙な顔つきで「休め」の体勢をとる二体の邪鬼は身長、およそ170センチくらいか。
あの森の凶暴な邪鬼の群れは、それぞれが3メートルを優に超えていたはずだ。

突然、千夏の背後から「そう、右の邪鬼がゼンキーで、左のがゴッキー。両方ともシャリプトのしもべ、というか使い魔というか、、、」と、あのネイオーミの声が。
「あ」と振り返った千夏の目には、いたずらっぽくウインクをするネイオーミの整い過ぎた美貌が映る。
と、急に表情を険しくしたネイオーミが足早にゼンキーに近づくと、いきなりその股間を蹴り上げた。

スパーン!
苦悶の表情で「イタイデス、ネイオーミサン!」とうめき声を漏らすゼンキーを無視して、すかさず、ゴッキーの頭を思いっきり引っ叩くネイオーミ。

バシッ!
「イタイヨー、ネイオーミサン、ボウリョクハンタイ!」とゴッキーも悲鳴を上げる。
二体の邪鬼を交互に睨みつけながら、「アンタたちが、気が利かないから、スダータがぶっ放したでしょ! あんな時は、ならず者をさっさと店外に放り出すのよ。ったく、使えないわねえ! そもそも、アンタたちは、、、」と説教するネイオーミ。

「ネイオーミ、それぐらいで」とローシが助け舟を出す。
すると、急にしおらしい態度と口調で、「ねえ、ロ~シ~、こちらのお嬢さんはどなた?」とネイオーミが千夏に関心を見せる。
「うん、異世界から来たチナツだ。いろいろと相談に乗ってやってくれないか、ネイオーミ」とローシが打診する。
「もちろん、喜んで! ローシのためなら何でもする。 このネイオーミにまかせて頂戴!」と瞳を輝かせ、心から嬉しそうにネイオーミが答えた。
まるで、飼い主のことが好きすぎて、全身全霊で好意と喜びを表現している仔犬のようだ。

~ 今のネイオーミさんの仕草や口調からは、ローシさんの役に立ちたいという真摯な気持ちがひしひしと伝わってくる ~
一体、ローシさんとネイオーミさんはどんな間柄なんだろう、と千夏が好奇心をくすぐられていると、、、
「ゼンキー、ゴッキー、ちょっと頼みたい用事が」とシャリプトの声。
「ハイ、オシショウサマ」と殊勝な態度で耳を傾ける二体へ、シャリプトが「f9t:1s-m#~7tr30+*i=!^~ch8\i$%n|\a45t>&s6″u2」と囁いた。

「???」と反応するしかない千夏に、ローシが「今のは魔族の言葉だ。邪鬼だけにわかる指示をしたのさ」と説明し、「さて、ちょっと外の空気を吸ってくるから、ネイオーミはチナツにこの世界のことを少し話してやってくれ」と告げて席を立った。
「は~い」と素直に返事をしたネイオーミの表情は無邪気な女児のよう。
~ 令和の日本にいたら、ネイオーミさんは「カメレオン女優」の名を欲しいままにするかも ~ 千夏が心中で独言する。

店外に出たローシが、「ピュッ」と一呼吸の口笛を鳴らすと、どこからともなく二人の男が姿を現す。
「どんな様子だ?」と問うローシに、「左肩に小さな『K』の文字、それから、両膝に「👁」のタトゥーがありました」と回答したのは、ならず者の遺体を処理した二人組であった。

「Kの文字と目を描いた入れ墨か、、、ノンダはどう思う?」
いつの間にか、戸口に立っているノンダにローシが問いかける。

「見たことも聞いたこともないな。どこか遠方の一族か、それとも新興の秘密組織か、、、」とノンダが思案顔で応えながら腕組みをすると、「こちらに敵意を持っている集団なら、あの死体が鉄砲玉ってことになるかもな」と付け加えた。
「まだ、なんとも言えんが、きな臭いことになるやもしれん。チンジ、ケンジ、ご苦労だが、Kと目のタトゥーを手掛かりに探ってみてくれ」とローシが告げるやいなや、「チンジ」「ケンジ」と呼ばれた二人の男は、忽然と姿を消した。

To be continued….