今回は奈良時代の権力移行について簡単に見ていこうかなと。
と、その前に飛鳥時代の皇位継承の流れを、大化の改新後から再確認。
*孝徳⇒斉明(女帝・皇極が重祚)⇒天智(=中大兄皇子)⇒弘文⇒天武(=大海人皇子=天智の弟)⇒持統(=天武の后)⇒文武⇒元明(=文武の母)
改めて、この時代は女帝の活躍が目立つことがわかる。
斉明、持統、元明と、、、
しかも、斉明天皇は重祚(皇極⇒斉明)している。
さて、文武帝が若くして崩御すると、天皇の母親が即位して元明天皇となる。
元明女帝は、710年(和銅3年)に平城京をきずいて藤原京から奈良へ遷都。
大化の改新後から8世紀初めにかけては、皇族と貴族の力関係は均衡がとれていたようだ。
そのバランスは、藤原氏の台頭によって崩れ始める。
そこで、今回のテーマである奈良時代の政権担当者の推移をざっと確認しよう。
*藤原不比等⇒長屋王⇒藤原四兄弟⇒橘諸兄⇒藤原仲麻呂(恵美押勝)⇒道鏡⇒藤原百川
皇族でもなく貴族でもない道鏡が、なぜか、ポツンと登場するところがなんともイイ味を出している?!
上記の流れを見れば、権力者の推移が、貴族⇒皇族⇒貴族⇒皇族⇒貴族⇒僧⇒貴族となることがわかる。
ホント、一人だけ僧の道鏡さん、あなたは異彩を放っているよ。
ん、待てよ、道鏡は「法王」にまで昇りつめたから「皇族」に準ずると見なしていいのかな。
◎ 藤原不比等
藤原不比等は藤原鎌足(中臣鎌足)の子。
父親の鎌足が中大兄皇子(天智天皇)と組んで、645年に蘇我蝦夷・入鹿父子を討ち(乙巳の変)、内臣として政権を支えた。
息子の不比等は律令体制確立のために尽力しつつ、婚姻によって皇室と密接な関係を築きながら、勢力基盤を固めていく。
不比等の娘のひとりは、文武天皇の后だし、別の娘は聖武天皇の后だし、その聖武天皇は不比等の孫にあたるし、、、と系図なしの文字だけで説明すると長くなるので、以下省略。
とにかく、不比等は皇室と濃密な血縁関係を築いて、宮中に勢力を張っていった。
◎ 長屋王(ながやおう)
不比等の死後に藤原氏をおさえようとしたのが、天武天皇(=天智の弟)の孫にあたる、皇族の長屋王である。
不比等の四人の男子がまだ幼いこともあり、長屋王が右大臣に任命され、政権を担当した。
その後、不比等の四子が成長すると、長屋王と対立し始めるのは自然な流れであり、729年、当時左大臣であった長屋王を、藤原四子が策謀によって自殺に追い込む。
世にいう「長屋王の変」である。
◎ 藤原四兄弟(=不比等の四人の息子)
不比等の息子たちの武智麻呂(むちまろ)、房前(ふささき)、宇合(うまかい)、麻呂(まろ)は政敵の長屋王を謀略で滅ぼし、政権を藤原氏の手中に戻した。
この四子は、光明子(=不比等の娘)を聖武天皇(=不比等の孫)の皇后に立てることに成功し、藤原氏の権力基盤を再び強化した。
実権を握った四兄弟ではあったが、737年に流行した天然痘によって、次々に命を落としてしまう。
都の人びとは、「長屋王の怨霊の為せる業だ」と噂し、恐れおののいたという。
◎ 橘諸兄(たちばなのもろえ)
不比等の四子が、天然痘であっさり死んでしまった後、実権を握ったのは、皇族出身の橘諸兄である。
この橘諸兄は、敏達(びだつ)天皇の後裔。
え、いきなり「敏達天皇」と言われても、ピンときませんか?
敏達帝は、飛鳥時代の天皇で、后は推古天皇。
では、以下の皇位継承の流れを見て、敏達天皇とその後の皇位継承を確認してください。
*欽明⇒「敏達」⇒用明⇒崇峻⇒推古(女帝)⇒舒明⇒皇極(女帝)⇒孝徳⇒斉明(皇極重祚)⇒天智⇒弘文⇒天武
さて、橘諸兄は実権掌握後、唐から帰国した吉備真備(きびのまきび)や玄昉(げんぼう)を抜擢すると、時の聖武天皇も二人を信任した。
橘諸兄らの台頭が面白くない藤原広嗣(ひろつぐ)は、吉備真備と玄昉の排除を求めて、740年に九州で大規模な反乱を起こすも鎮圧された(藤原広嗣の乱)。
この広嗣は、長屋王を謀殺した宇合(=前述の藤原四子のひとり)の息子である。
◎ 藤原仲麻呂(恵美押勝)
749年、聖武天皇は譲位し、出家するが、皇位を受け継いだのは孝謙天皇(=聖武の娘)である。
この孝謙女帝の時代に勢力を伸長させたのが、不比等の孫になる藤原仲麻呂である。
仲麻呂は光明皇太后(=聖武天皇の后)と連携し、政界で力を揮う。
これに対抗して、橘諸兄の子の橘奈良麻呂は藤原仲麻呂を倒そうとするも、757年に捕らわれて獄死する(橘奈良麻呂の変)。
孝謙女帝は、758年には早くも退位し、淳仁天皇が皇位を継承する。
元々、淳仁天皇と仲麻呂は親密だったため、これを機に仲麻呂の権力はさらに強化され、「恵美押勝」を名乗るようになった。
◎ 今回はここまで
最初は、次の道鏡や藤原百川まで進めようかな思ったが、すでにかなりの分量に達しているので、この辺でとめておこう。
毎度のことながら、行き当たりばったりで、、、、、
常連の皆さん、お許しのほどを。