阿弥陀さま、観音さま、お地蔵さん、弁天さま、、、「仏さま」もいろいろ!

日本は八百万の神々の国。
仏教関係だけでも、阿弥陀さま、観音さま、お地蔵さんなどなど、多士済々でございます。

え、「多士済々」という言い方は失礼ですか、、、
磯貝老師~、どう思いますか?

さて、今回は、日本人にとって馴染み深い諸仏についてのごく基本的な情報を紹介します。
まずは、例の「南無阿弥陀仏」から話を進めましょう。

この念仏、「南無阿弥陀仏」の中の「阿弥陀」が、阿弥陀さまですね。
ちなみに、「南無」とは「帰依します」の意味ですから、念仏は「阿弥陀仏に帰依します」ということ。

阿弥陀仏とは、阿弥陀如来のことです。
西方極楽浄土の教主で、念仏を唱える人なら誰でも救ってくれるありがたい仏様。
日本で、浄土信仰を教えの中心とした教団が、浄土宗や浄土真宗などです。

次に、諸仏の中でも、知名度は一二位を争うであろう、観音さま。
観音さまとは、観音菩薩のこと。
聖観音、十一面観音、千手観音、如意輪観音、、、と様々な観音さまがいらっしゃいます。

では、ここで「さっきは、阿弥陀如来で、今度は観音菩薩。じゃあ、『如来』と『菩薩』の違いはなんだ?」と常連のトミーからツッコミが入りそうなので、その説明を少々。

◎ 如来とは「覚った者」「真実から来た者」という意味です。

簡単に言うと、諸仏の中の最高ランク。
仏教の開祖である、お釈迦さまは「釈迦如来」で、その他、阿弥陀如来、薬師如来、大日如来などなど。
詳しく説明するとキリがないので、この程度で。

◎ 菩薩とは如来になるために修行に励んでいる者のことです。

もともとは、覚りを開く前のお釈迦様(ゴータマ・シッダールタ)のことを意味しておりました。
それが、大乗仏教の展開の中で、多種多様な「菩薩」が登場するようになりました。
この辺の事情はまたの機会に。

では、観音さまに話をもどします。
観音菩薩は、正式には、観世音菩薩または観自在菩薩といいます。
あの有名な『般若心経』の出だしが、「観自在菩薩行深般若波羅蜜多時、、、」なのは知っている人も多いでしょう。

え、でも、なぜ正式名称が二つあるのでしょうか。
それは、サンスクリットから漢訳する際に、異なる翻訳者がそれぞれ別の漢訳を当てたからです。
ですから、「観音さま」=「観世音菩薩」=「観自在菩薩」と解釈してもらって結構です。

観音さまは、三十三身に変化して衆生を救うとされています。
そのため、先述のように、十一面観音、千手観音、不空羂索観音、馬頭観音などの「変化(へんげ)観音」が存在するのです。

続きまして、昔ばなし『笠地蔵』でもお馴染みの、お地蔵さん。
お地蔵さんの正式名は、地蔵菩薩です。
だから、観音さまとお地蔵さんは、「菩薩」という同じカテゴリーに属しているわけです。

お地蔵さんの功徳をごく大雑把に言うと、人々を地獄から救ってくれること。
釈迦入滅後、つまり「仏」が不在の時代に人々を救済することが地蔵菩薩の本願。

大乗仏教では、お釈迦様が亡くなってから、五十六億七千万年後に、弥勒仏が出現するとされています。
お地蔵さんは、弥勒仏が登場するまでの間に、悩める衆生を助けてくれることから、多くの人びとから親しまれ、信仰の対象となっています。
お地蔵さんについてはここまで。

本記事の最後は、弁天さまに締めくくってもらいましょう。
弁天さまとは、弁才天のこと。

ん、ここでまた、「如来」でもなく「菩薩」でもない、「天」という呼称が出てきましたね。
ということで、まずは、「天」を簡単に解説します。

◎ 天とはサンスクリット語で「神」を意味する「デーヴァ」を漢訳したもので、バラモン教やヒンドゥー教の神々を仏教に取り込んだものです。
古代インド神話の悪神や悪鬼、夜叉のたぐいも「天」のメンバーに入っているから興味深いですね。

そういうことで、弁天さまの説明に戻ります。
古代インドには、サラスヴァティーという聖なる河が流れていたそうです。
その神聖な河を神格化した女神(サラスヴァティー)が仏教に取り込まれて、弁才天と呼ばれました。

水と豊穣の神とされ、水のせせらぎが奏でる音色から音楽神としての性格も併せ持ちます。
日本に入ると、本来のものとは異なるイメージも付加されていきます。

よく知られているのは、「才」が「財」に変わり、「弁財天」として七福神の一人として祀られるようになったことです。
農業神・音楽神であった「弁才天」が、福徳・財宝の女神「弁財天」へと変容したのです。
まあ、舶来ものは、必ず「日本化」するのが、大和民族の得意とするところですからね。

今回、「仏」のジャンルというかカテゴリーとして、「如来」「菩薩」「天」の三つを簡単に説明しながら、阿弥陀さまや観音さまなどの性格を見てみました。

実は、もうひとつ、「明王」という仏さまもいらっしゃいます。
代表例は、何といっても「不動明王」さまでしょう。

その点も含めて、第二弾も準備したいと思います。