~ 知らざあ言って聞かせやしょう
浜の真砂と五右衛門が 歌に残せし盗人の 種は尽きねえ七里ヶ浜 その白波の夜働き、、、、
ご存じ、弁天小僧の名啖呵の出だし。
これ、耳に心地よいし、音読すると口がよく回る。
まあ、歌舞伎の名台詞だから、当たり前か、練りに練って出来上がったものだろうから。
などと、ぼんやり思っていると、はたと気づきました。
そう、このセリフ、典型的な日本語のリズムで構成されていることに。
浜の真砂と(はまのまさごと 7音) 五右衛門が(ごえもんが 5音)
歌に残せし(うたにのこせし 7音) 盗人の(ぬすっとの 5音)
種は尽きねえ(たねはつきねえ 7音) 七里ヶ浜(しちりがはま 6音)
その白波の(そのしらなみの 7音) 夜働き(よばたらき 5音)
七里ヶ浜の6音が例外ですけれども、それ以外は「七五調」で進行しています。
弁天小僧のセリフをもう少し並べてみます。
以前をいやぁ(いぜんをいやぁ 7音) 江ノ島で(えのしまで 5音)
年季勤めの(ねんきづとめの 7音) 稚児ヶ淵(ちごがふち 5音)
百味講で散らす(ひゃくみでちらす 7音) 蒔銭を(まきせんを 5音)
当てに小皿の(あてにこざらの 7音) 一文子(いちもんこ 5音)、、、、、とまあ、この辺で。
日本人の耳には「七五調」はとても響きが良い。
多分、どこかで、この弁天小僧の「七五調」のことを読んでいるはずなのに、すっかり忘れておりました。
常連さんから「弁天小僧?七五調?わかりきったことを書くなよ!」と言われそうですね。
では、こちらも開き直りまして、以下にも目を通してください。
~ やんま逃がした群馬の頓馬サンマを焼いて按摩と食べた まんまと逃げた群馬のやんまたんまも言わずあさまのかなた
詩に詳しい岡谷修行僧から「勝手にひらがなを漢字に変えるな!」と叱られるかな、ハハハ。
谷川俊太郎さんの『やんま』を口に出してみると、その調子の良さに気づきます。
なぜ、これほどリズムが踊るのか、、、、
やんまにがした(7音)ぐんまのとんま(7音)さんまをやいて(7音)あんまとたべた(7音)
まんまとにげた(7音)ぐんまのやんま(7音)たんまもいわず(7音)あさまのかなた(7音)
そうなんです!(⇐ここ、『恋のぼんちシート』調で)
この詩は七音の繰り返し、つまり「七七調」だからこそ、音の響きが美しいんです。
理屈はわかりませんが、日本人は5音と7音が大好き。
だから、俳句は「五七五」、短歌は「五七五七七」というわけ。
ん、断言してしまったけど、よかったのかな?
「飲んだら乗るな 乗るなら飲むな」は七七。
「一を聞いて 十を知る」は五五。
交通標語やことわざの世界にも、「五」と「七」が大活躍。
ホント、日本人は5音と7音のとりこ。
今回の記事作成のきっかけは、実家の本棚に鎮座していた『声に出して読みたい日本語』という本。
著者は齋藤孝氏で、初版は2001年9月。
開いて、最初の題材が冒頭の「知らざあ言って聞かせやしょう、、、」でございました。
この「白波五人男」の作者は、河竹黙阿弥(かわたけもくあみ)です。
試しに音読してみたら、大層読みやすいし、流れるようなリズムがある。
そこで、カウントしてみたら、ほぼ「七五調」で統一されていたことを再発見(?)した次第でございます。
じゃあ、ブログネタにするかなと、、、、
ホント、芸の無いことで、毎度のことながら。
それでは、最後に谷川さんの「き」を紹介しますので、よろしかったら音読してみてください。
なんのきこのき このきはひのき
りんきにせんき きでやむあにき
なんのきそのき そのきはみずき
たんきはそんき あしたはてんき
なんのきあのき あのきはたぬき
ばけそこなって あおいきといき
いかがでしたか。
口に出すと「七七調」のリズムが躍動しませんか。
日本人の耳を魅了する「五音」と「七音」の魔力。
本記事はここまでとします。